本のはなし

*親について

親について考える時、思い出す小説があります。山本有三の“波”と芹沢光治良の“人間の運命”です。“波”の主人公は、自分の子ではないのではないか、と思い悩むのですが、最終的に波と戯れて遊んでいる子を見て、血が繋がっているか否かは、何の意味も無いのだ…

*空也上人がいた

新刊が出ていたので山田太一さんを読んだ。 老いの介護を通して闇を視ている。 相変わらずいいね。

*ベストセラー

ベストセラーを読んだことがない。 ベストセラーは信用できない、といったような性分を持ち合わせているのかもしれない。 読書の時、作家の人となりを想像する。 どのような生き方が好きで、あるいは嫌いなのか、どのように自分と向き合い、 どのように愛憎…

*経営の本

ドラッカーの本が売れているという。 経営の本は、サラリーマンの頃すこし読んだ。 他にカーネギーとか松下幸之助とか。 26歳で会社を作ってからは、読んでいない。

仮出獄

吉村昭という人が書いた小説で「仮出獄」という中編小説があります。 高校の教師が主人公で、浮気をした奥さんを殺して、相手の男を刺したけれど死ななくて、その相手の男のお母さんを焼死させて、無期懲役で刑務所に入って。真面目にやれば仮出獄できること…

利休にたずねよ

「利休にたずねよ」という小説を読みました。53歳の山本兼一さんという京都の人が書いたもので、直木賞を取っています。お茶のことを良く調べていて、詳しいですね。 利休が切腹した日から過去に遡ります。利休は茶室にしても何にしても、繊細な感覚の持ち主…

無趣味のすすめ

1.村上龍さんの「無趣味のすすめ」というエッセイを立ち読みしたのだけれど、すごく良かったですよ。本屋で8万部売れていると書いてありましたが、彼の言う事を本当に分かっている人は多くない気がします。 趣味と言うのは、どれほど良い趣味であったとして…

*決断力

羽生善治さんの“決断力”をすがすがしく読ませていただいた。 言い訳できない場所に自分を置いている。 自分とは無縁の第三者を見るように自分を見る。 自分の弱さを平気で表現する。 恐ろしいほど謙虚である。 月とスッポン、と云うべきか。

晩夏

初めて北海道を意識したのは、原田康子の「挽歌」という恋愛小説です。主人公の相方が確か建築技師で、北海道でジープ乗っているんだよね。ジープはいかにも北海道ですね。

村上龍さん

村上龍さんの「愛と幻想のファシズム」というのを読みました。すごくおもしろい。私の好みです。

作家のレベル

ハードボイルドや刑事もの、探偵ものだとかの中間小説を読んでいると、この主人公はなんて知能が低いんだってよく思うんですよね。僕ならばこうは思わないということがしょっちゅうです。 ―それは結局は作者のレベルじゃないですか。(本橋) 主人公と作者の…

*戦場のニーナ

なかにし礼さんの「戦場のニーナ」を読んだ。この人は期待を裏切ることがない。良いものにめぐりあうと本であれ絵であれ茶碗であれ祈りのようなものを感じてしまう。ちかごろわたしは新鮮な気持ちになることがある。以前はわからなかった感性が生まれてきて…

「法令遵守」が日本を滅ぼす

郷原信郎さんの“「法令遵守」が日本を滅ぼす”“あなたの法令遵守原理主義そのものが元凶なのです”という本を法律の先生から戴きました。オイルショックの時のトイレットペーパーの買い溜め、米が不作の時の日本米を買う為の行列、セット販売のタイ米がゴミ箱…

村上春樹

村上春樹翻訳の「ロング・グッドバイ」を読んだのですが、文章がびっくりするくらいすごく良かった。あの人は僕より3つくらい下でしょうか。対談とか紀行文とかもよく目にしますが、小説の数を数えてみたら意外と少ないんですね。 初期の短編で「蛍・納屋を…

吉村昭、吉本隆明、江藤淳

最近読んだ本で面白いなと思ったのが吉村昭さんの「死顔」というものです。「自らの死を自覚し延命治療を拒んだ著者が遺書のように書き残した短編」とあります。死と向き合っていて、とても良かったです。最後のものは活字にする前に死んじゃいました。奥さ…

冬樹社

わたしの関係会社で雑誌を作っていました、「コラボレーション」という。二人に対談してもらって、それをメインにした雑誌でした。高松伸さんや中沢新一さんなどけっこう有名な人たちに登場してもらいました。中沢さんと対談をしたのが、パルコのポスターを…

神林長平

神林長平さんというSF作家がいます。「戦闘妖精・雪風」というのがあって、戦闘機が自分の意思をもつんですね。色々なパラレルワールドがあって、次元が変わるであるとか。同じ人間が次元毎にいるわけ。そういう小説を書いている。その人の本は古本屋で売っ…

企業家の自伝

今年に入って初めて自伝を読むようになりました。小さい頃は読んでいたのかもしれないけれど、野口英世の手の話とか断片的なストーリーは覚えていますから。今年になって読んだ人で、江副浩正さん(リクルート)、中内功さん(ダイエー)、本田宗一郎さん(…