建築のはなし

財団の応募者の書類を選考している。 私と建築との関係は何か、 建築のなかの私はどのような存在か。 社会のなかの私はどのような存在か。 どのように向き合っているのか。 どのような問題が存在するのか、 私、建築、社会に。 私にとっての関係性であるから…

*コンクリート落下事故

笹子トンネルをはじめ、コンクリート落下があちこちで見つかっています。 二つ問題があります。 一つ目は、設計の問題。 笹子トンネルの天井板は構造上危険なわけです。 アーチ状の天井の方が堅牢なのに、わざわざ高いコストをかけて天井板を付け、換気の為…

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年に数百棟の貸ビルを見に行く。貸ビルとしての出来不出来を査定するためである。貸せるのか貸せないのか。いくらなら貸せるのか。ぱっと観て設計の好きな設計士が建築した建物だとわかるビルがある。建築士だけが満足する自己撞着のような建物は貸ビルとし…

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数十年モデルチェンジをしない、ルノー4という車があった。白黒映画のジャンギャバンふんする若いヤクザが、パリの裏道をすっとばしていく安っぽい車である。映画を見てからわたしはルノー4を好きになった。 ルノー4は、お金の無い建築士が、安い土地を借り…

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本橋君へポンピドゥセンターの評価は現在どんなかんじですか。あなたはどう思いますか。佐々木泰樹 佐々木さん、こんにちは。ポンピドゥセンターというと、パリにある70年代にR・ロジャースとレンゾピアノが建てた物と、メスというフランス北部にあるついこ…

*“個人と世界をつなぐ建築”

座談会に行った。司会は“建築と日常”の長島明夫さん。 出席者は、伊東豊雄さん、坂本一成さん、中山英之さん、長谷川豪さん。 小説家の座談会の言語。 詩人の座談会の言語。 建築家の座談会の言語。 建築家の方の言語は、 いつもユニークである。

ボストン

ボストンはいい街だったね。なんでいい街だと思ったかというと、空があるんだよ。あー、ここは超高層がないんだと思って。超高層って不愉快ですよね、勝手に人の視界を遮るよね。マンハッタンなんか全く空がないもんね。

設計と営業

クライアントがいる限り設計は営業だと思う。純粋な建築という部分と現実に建物をつくる過程と言うのは、無論繋がっているところもあるけれど、大きくは分かれてくるよね。

思い込み

興味が無いことはないのだろうけれど、建物や設計に対してこだわりが薄い人が多いよね。こだわりが薄いと気が付く部分は少なくなるし、感覚は鈍くなる。 僕が最初、建築に興味を持ったのは設計でお客さんが入るか入らないかが大きく違うからです。建物を見て…

建物

良いと思うものは少ないよね。建物を見てしびれたら、幸せだよね。アルファ波が持続すると言うか、背筋にぞくぞくっとしたのが残るんですよ。

伊東豊雄

伊東豊雄さんが外国から来たお客さんを連れて自分の設計した建物を見に行こうとしたときに、タクシーに乗ったらその運転手に「あの建物は外見は良いけれど、中身はまるでダメだよ。他のもの見に行った方が良いよ」って言われたそうです。ぐさっときたらしい…

チェック

デザインはチェック出来ないけれど、技術はチェック出来るよね。

確認申請

建築の確認申請は法規の解釈についての確認ですよね。区によっても解釈がおおきく異なる場合があります。役所の理屈とこっちの理屈は違いますしね。私はしょっちゅう議論しています。当然、担当者によっても違います。

地上0階、地下4階

高松伸さんが設計した駒場の方にある建物で、地上0階、地下4階という建物があるんですよ。 最初CGで見たのですが、昔だから当時のCGって全部手作業で細かいのをいちいち入力していたから、手間も時間もすごいお金がかかっていたんじゃないかな。 それで出…

サイン2

―サインについてですが、どうやったら相手を論破出来るかを考えています。(本橋) 実績を見せるのが一番手っ取り早いんだろうね。 ―そうですね。特に大学の場合は東大が過去にやっているとなると、説得力が増すみたいですね。(笑)(本橋) ところで安藤忠…

サイン

―今やっている公共の仕事で、サイン計画の室名表示のサイズで少しもめています。僕は現場の管理担当の人と仕事をしているのですが、それを監査する上司というのが色々とこちらのデザインに対して言ってきているので、苦戦しています。(本橋) 各人が持って…

現場の繁忙期

現場は完成が間近になると忙しくなるよね。やっぱり忙しいのは着工の頃と竣工間際のころだよね。最初はやっぱり軌道に乗るまで構造・設備・意匠が一緒に打合せするでしょ。そうすると方針が粗々で決まって滑り出して、忙しくなるよね

施工図3

本橋くんがやっているプロジェクトもそろそろ追い込みでしょう。仕上げに入ってきているから、けっこう忙しいでしょう。 ―そうですね。ここにきて明らかになる凡ミスが多いんですよ。今更、そんな事言うか!って。複雑だから仕方ないのですが。(本橋) 大手…

施工図2

現場の施工図の提案って、ただひたすら施工をしやすくて、ミスが少ない図面を書いてくるわけだよね。なんでも余裕を持ってしたがりますからね、目地は太くしたがるし。あるいはミスをしても目立たないようにするんですよね。

赤紙

建築基準法が厳しくなりましたね。それ以前のことですが、3階建ての建物に床を張って6階建てにしたり、マンションの集会所を部屋に変えちゃったりして、使用停止の赤紙が貼られているのを見たことがあります。無断でこの紙を撤去すると刑法に抵触します、と…

塔の家

家と住み手との関係は、住み手のリズムや体力、気力によって当然関わり方が変わってきます。施主は何となくそういうことを分かっていて注文を出すわけだよね。 神宮前の「塔の家」は若い頃は良いけれど。東さんもけっこう頑張ってつい最近まで住んでいたね。…

洗面器

住宅の仕様についてですが、ハイセンスな輸入品ではなくて昔から使われている、個性のないありふれたものが良いですよね。洗面器や蛇口など、いかにもデザインしているものじゃなくて。シャワーなんて一番安いものでいいよね。 ―僕は正直、その点は本質的で…

職人の技術

職人の技術というのは、本当にごまかしがききません。 溶接だとやっている姿を遠くから見るだけで、腕がいいかどうかがわかるそうです。リズムなんですね。目に見える所は誰でもできるんだよ。鉄骨の溶接のポイントは、表面じゃなくて中なんだよね。腕がいい…

施工図

建築の図面を見ていると枚数はあるけれど、詳細なところは描いていないものは多いよね、仕方がないのだろうけれど。その場合、現場が進んでいく中で、工務店に根掘り葉掘り聞きながら詳細を詰めていかないと、力が付かないよね。基本的にはこちらで決めつけ…

実施設計

木造住宅の実施設計を学生はやるの? ―基本的には学生はできないですよ(本橋) 計画は課題でやったりするでしょ。 ―基本的には実務とは違いますよね(本橋) でも図面上では一度やればすぐ覚えるんだろうけれど。図面はあくまでも一般論でしかないし、概念…

大学の先生

大学の先生だと学生とコンペをやったりもできるし、人手にコストをかけないでできるから良いよね。あと有名な大学だとそれだけでも良いし。 そうでないとすると、普通やっぱりコンペに勝って認められるしかないんだよね。

坂本一成さん

坂本一成さんの最初の頃の作品には強烈なエネルギーの塊を感じますね、溢れかえる生命力を。研ぎすまされたカミソリみたいな感性を感じます。 でももうああいう設計はしないんでしょうね。興味を失っているんですよね。今の年齢でああいうのをやったら、それ…

事務所ビル

事務所ビルで今まで美しさがあった方が良いとは思ったことはないのだけれど、本当に美しいものが作れるんだったら良いと思うね。自社ビルではあるんだけれどね、貸しビルではないね。 ―貸しビルはお金をかけないからですか?(本橋) 貸しビルでもお金をかけ…

私の考えた家

私のかみさんは私が考える家は絶対にダメだって、昔から言っています。一番初めに買った家がワンフロア9.5坪の総2階建てのイージーオーダーの建て売り住宅で、プランはこちらの指示通りでね。階段の途中に書斎をつくったり、風呂も中2階につくったりしてね…

店舗設計

店舗の設計をする人もおもしろいね、建築を設計する人と世界がずいぶん違うよね。興味の範疇が違う。 というのは、小さな料理屋の入り口を鉄板の三方枠で囲んでいて、その錆びている感じがいいなと思って。床まで鉄板だから、四方枠と言ってもいいでしょうけ…