*親について

親について考える時、思い出す小説があります。山本有三の“波”と芹沢光治良の“人間の運命”です。“波”の主人公は、自分の子ではないのではないか、と思い悩むのですが、最終的に波と戯れて遊んでいる子を見て、血が繋がっているか否かは、何の意味も無いのだ、という結論になります。“人間の運命”の主人公は、親の行為の一切を否定し、血が繋がっているから親である、という見解には意味が無い、と考えます。周囲に尊敬する人が居て、牧師なのですが、その人が本当の親のように主人公に接するわけです。主人公は、本来の親はその人である、本当の親とはそういう人の事である、と考えるわけです。