わたしの詩
穴を掘り 産卵する 複数の雄が 射精する 誰の子か 分からない 誰に似るのかも 分からない
分かるって 何だろう 状態のことだろうか 理由のことだろうか 分かって どうするのだろう 諦めるのだろうか 許すのだろうか
ほんとうは いいたいことは なにひとつない だから どもるしかない
隅田川のほとり ぼくの脚もとで 土鳩が ぼくを見上げる 右目で見上げる 次は左目で見上げる 同じように 見えるのだろうか 言葉が異なるから わからない 言葉が同じなら わかるだろうか
はじっこで眠る 右へ行っても 左へ行っても はじっこがある 上へ行っても 下へ行っても はじっこがある はじっこに 囲まれて眠る はじっこのむこうから ぼくを呼ぶ声が 聞こえる
受け止めて もらえぬ かなしみと 受け止める ことのできぬ かなしみの はざまで 兎は 固まってしまう しかないのだ